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無罪判決と権力の動き
昨日堀越事件で逆転無罪判決が出ました。堀越さんとは去年、一度だけですが飲みながら話を聞いたこともありました。ご本人の喜びもひとしおだと思います。

<政党機関紙配布>74年の判例疑問視 「逆転無罪」判決
3月29日22時1分配信 毎日新聞

 共産党機関紙の配布が国家公務員法違反に問われた事件で、旧社会保険庁職員、堀越明男被告(56)を逆転無罪とした29日の東京高裁判決は、国家公務員の政党機関紙配布などを一律に禁じた同法や人事院規則、それを合憲と認めた最高裁判決(74年、猿払=さるふつ=判決)に疑問を投げ掛けた。検察側は上告するとみられ、最高裁が今後、判例を見直すかどうかが焦点になる。



さてこの堀越事件判決の3日前、26日に感動的な足利事件判決がありました。傍聴席には入れないだろうなと思いつつ、空気だけでも味わいたく宇都宮に行ってきました。

9時30分には到着したのですが、すでに宇都宮地裁前は200人近い報道陣であふれていました。



9時50分ころ菅家さんと弁護団が裁判所へ入ります。自然に拍手がわいてきました。無罪が出ることが分かっているので皆さん表情は柔らかです。



菅家さんたちが判決を受けて出てきたのは11時過ぎくらい。満面の笑顔でした。



傍聴していた足利事件の杉山さん、桜井さん。狭山事件の石川一雄さんたちも出てきました。氷見事件の柳原さんもいらしていたそうです。

「裁判官が深々と頭を下げた。あれは心がこもっていた。検察官の時はおざなりだったけど(笑)」と布川事件の杉山さんは言っていました。


布川事件杉山さん、桜井さん


狭山事件、石川一雄さん

僕はこの事件の取り調べについて検察が「通常の取り調べだったので問題はない」としていることが大問題だと思っています。

これが特殊な事例ならまだ救いがあります。しかし「通常の取り調べ」でこれだけ重大なえん罪が生まれてしまった。ということは、日常的に行われている取り調べでえん罪が起こる可能性が非常に大きいということではないのでしょうか。

今もたくさんのえん罪があるということを検察が自ら認めているということなのではないっすか。

本気で取り調べの全面可視化の必要性を感じます。

1億円もかけてセンター街に監視カメラを取り付けるのは簡単にやるのに、どうして取調室に監視カメラをつけることは難しくなってしまうのでしょうか?

まさに庶民だけは監視しておこうというビッグブラザーの世界。権力側こそ監視が必要なのではないのでしょうか。えん罪取材をしている身では、この監視カメラの映像なるものの使い方を全く信用することができません。

例えば、えん罪を訴えていた植草元教授。彼はいわゆる手鏡事件の時に「もし犯行をしているのならエスカレーター上の防犯カメラに写っているはずなので、映像を出してほしい」と訴えていましたが受け入れられませんでした。

町田痴漢「えん罪」事件でもMさんが駅事務所に連れて行かれる時の状況が「被害」を訴える女性とMさんの証言が食い違いました。Mさんは「駅に取り付けられた防犯カメラの映像を出してほしい」と訴えましたが聞き入れられることはありませんでした。

一方、防衛医大痴漢えん罪事件で、警察は鞄を取りに車内に戻ろうとした教授の映像を写真にして、「教授が逃げようとした動かぬ証拠」と教授につきつけました。

権力はいつも素敵です。

東京・渋谷で最も犯罪が多い道玄坂地区に防犯カメラ10台を設置
3月30日8時42分配信 フジテレビ

東京・渋谷で最も犯罪が多い道玄坂地区に、防犯カメラ10台が設置された。
警視庁の山下史雄生活安全部長は、「防犯カメラは、渋谷道玄坂地区の安心・安全の礎となるもの」と話した。
警視庁によると、道玄坂地区には、10台の防犯カメラが設置され、24時間体制でのモニタリングを実施するという。
これまで、都内5地区にあわせて150台の防犯カメラが設置されているが、2009年の1年間で、110番通報前に防犯カメラのモニタリングで認知した事件は600件にのぼり、警視庁は、渋谷で最も事件が多い道玄坂地区の犯罪抑止につなげたい考え。




posted by iwajilow | 08:35 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(1) | trackbacks(0) |
足利事件・検察官取調べテープの中身
先日の集会の続きです。
足利事件の佐藤弁護士が2週間前に存在が分かった検察官取調べテープの中身を話してくれました。検察官に中身を公表するなと言われている中で、その重要さを鑑みての出してくれました。若干補足を加えながら、再録します。

ちなみにこれは92年年12月初旬(おそらく7日)、逮捕から1年後の検察官取調べです。起訴後のため真実ちゃん事件については取調べできないのですが、別件のマヤちゃん事件、ユミちゃん事件についてということで取調べが行われました。

検察官「本当に君がやったのかどうか聞きたいわけね。僕は本当のことが知りたくて本当に君がやったのか確かめに来たわけ。今までこう言ったことをああ言ったということをこだわらないで今日はもう自由な気持ち楽な気持ちで話してもらいたいと思っているわけ、本当にやったのらやったといってもかまわないし、やっていないのならやっていないで構わないしどちらでもいいんですけども」
「本当を言うと…」
「うん」
「いいですか?」
「いいよ」
「やってません」
「やってないの、どっちなの、それとも片方だけ?」
「どっちもです」
「どっちもやってない?」

佐藤弁護士「ここは会話がずれていまして検察官は2件のことを聞いているつもり、マヤちゃんとユミちゃん。実は菅家さんは真実ちゃんの事件をやってないというつもりで『どっちも』と言っている、3件ともと言っている。そのあと『昨年警察が12月に来ました』と言って『警察官に話した通りのことを検察官にずっとしていきます。それで警察ではやりましたと話しましたけど、やっていないんです。本当です。本当に今まで嘘をついていてすいませんでした』というふうに検察官に言いましてマヤちゃんとユミちゃんの事件を含めて2時間取り調べが続けられています」



佐藤弁護士「(菅谷さんは)極刑と言われて否認したのではないんです。本当ことを言ってくれ楽な気持で言ってくれと言われて言っちゃったんです。2時間言ってます」

最後に検察官「ちょっと考えてもらいたいと思っているんだけど」
「だけど言われてもわかりません、本当に」
「あ、そうだけど君裁判が始まったらどうするつもり裁判が始まったら今ここで言ったとおり言う?どうする?まだ決めてない?どうする?はっきり決めてない?弁護士さんには今ここで話したような話はするつもり?どうする?」

佐藤弁護士「これが12月22日(菅谷さんが法廷で否認した日)の2週間前です」


検察官「今、君の話を聞くといろいろ疑問がある。わかる?いままでの話とぜんぜん違うから、じゃあ今日はこの辺にしておこうかな」で終わっている。

そして翌日12月8日検察官
「君からちょっと変なことを聞いたんで今日来たんだけど、真実ちゃんの事件は君がやったことは間違いないんじゃないかな?」
「違います」
「え?」
「違います」
「違う?」
「はい」
「それで鑑定ですか、自分ではよくわからないんですけど、何鑑定というんでしたっけ?」
「DNA鑑定」
「そんなことを聞いたんですけど、自分では全然覚えてないんです」
「だけどDNA鑑定で君の精液と一致する精液があるんだよ」
「全然それわからないんですよ、本当に。絶対に違うんです」
「違うんですって言ったって、君の精液と同じ精液持ってい人が何人いると思っているの?」
さっき言いましたでしょ、足利市内で当時のデータで50人いたんですよ、現在はその比率がもっと大きくなって250人くらい足利市にいるんです、検察官に言いたいですよ全く嘘のことを言ってですね、いろいろ言っているんです。
「どうだいずるいじゃないか君。なんでぼくの目を見て言わないの、そういうこと。さっきから君は僕の目を一度も見ていないよ。ん?」
「ごめんなさい、すいません」
「嘘だったの?そうだね」
「ごめんなさい。勘弁してください、勘弁してくださいよ」」
「いいから」
「勘弁してくださいよ、すいません」
「僕はね、本当のことを聞きたいということを何回も言うよ、君に」


佐藤弁護士「今のようことをして自白させたんです。それからひどい説教をしているんです」


検察官「結果はどうあれ、人の命にかかわる事件だ。そういう事件が起きて自分がかかわっているのなら人間として誠実さを失ったら僕は終わりだと思う。卑怯なことを言って罪を逃れようとする人はいくらでも世の中にいるけれども、そういうのは人間として失格じゃないかな。僕はそう思う。だれでも過ちはあるからそういう過ちがあるからこういう裁判になるんだけれども、一度話した以上素直に振り返って自分の心の傷としてよく刻みつけておいてもらいたい。僕はそう思うわけ。昨日も真実ちゃんのあれ、うそを言ったということで間違いないんだね」
「はい、すいません、ごめんなさい。取り消してください、昨日のは」
「うん、いいよ。それは気にしないでいいから」
「ありがとうございます」
「そういうことで僕は怒ったりしているわけじゃないんだよ」

佐藤弁護士「怒ってるじゃないですか(笑)」


菅谷さん「はい」
検察官「僕はねそのへんの君の誠実さを見ておきたいと思っているわけ。人の命を殺めたということだったら正面から償わないというのは人間としてだめじゃないかと思う。それは、よく考えてほしい、今後も。君の誠実さがどういうふうに裁判所に訴えられるかということが問題だってあるわけですよ。考えてさ、人を殺めたということを思いやるということが裁判所がどういうふうに判断するのか、本当に人間の誠実さの問題と思うから、わかるかね」


佐藤弁護士「これが12月8日、念を押しているわけですよ。
それで12月22日を迎えている。それにもかかわらず彼は否認に転じたわけです。検察官はこういうことがあったのに、全く嘘のストーリーを法廷で描いたんです。このことを検察官は公表したらならないと言ったんですよ。
これをテープで聞いていただければ国民の皆さんは足利事件の真相はいながらしてわかるんです。DNA鑑定なんて難し問題じゃないんです。裁判官も欺かれたと私は思います。こんなことを許していいのかと私は思う」



posted by iwajilow | 08:13 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(1) | trackbacks(0) |
足利事件・佐藤弁護士の語る「足利事件と飯塚事件」
「法務省はブレーキの効かない殺人マシーンになっている」

昨日、四谷市民ホールで「響かせ合おう 死刑廃止の声」というイベントが行われました。そのイベントに足利事件の菅谷さんと佐藤博史弁護士も出席されました。

とても興味深い講演でした。テープの問題、自白の問題、いくつも印象的なテーマで話してくださったのですが、とくに死刑を執行されてしまった飯塚事件の話は徹底解明が必要だと思います。

以前の[ブログ]

佐藤弁護士
「飯塚事件というのは1992年、足利事件の2年後に起きた事件です。東の足利、西の飯塚といって二つの事件は協力して弁護人活動をしていました。足利事件と飯塚事件が違うのは飯塚の場合は、(科警研とは)別の帝京大学の石山先生の鑑定というのが存在しまして、これによると一致しないといく結論になっていたんです。さらに(犯人とされた)久間さんは逮捕されたときから一貫して否認を通しました。しかし二人の女の子が殺されたということで死刑判決が確定しました。

去年の10月28日に死刑が執行されました。この意味なんですけれども実は足利事件もDNA再鑑定は10月24日に裁判所の正式命令が出ましたけれどもその前、10月15日に検察官が検察官としてもDNA再鑑定に反対しないという意見書を書いたんです。

この時にはまだ内部的な話ですけども公表は憚れたんですが私の思惑でこっそりマスコミにリークしたんです。その結果、10月17日に朝日新聞が足利事件DNA再鑑定へと報じたんです。これで全マスコミが驚きましていったいどういうことなんだと問い合わせが来て、私は『なんで知っているんですか』ということを言いながら、『実は検察官がDNA鑑定に反対しないということを言っていると、裁判所もDNA再鑑定をするらしい』と言っちゃたんですね。それで足利についてDNA再鑑定というのが10月17日以降広まったんです。

久間さんの死刑執行は10月28日です。
青木理さんの本によると久間さんの死刑執行はその前から書類が上がってきて法務大臣のハンコが押されて死刑執行されるそうです。法務省の建物と検察庁の建物は霞が関のツインビルですけれども検察庁の中の東京高検は足利事件でDNA再鑑定もやむを得ないという意見を書いていた。私が発表しなければ二つの役所は知らないというままでいいかもしれないけど、発表したわけですよ。足利事件についてDNAの見直しが始まるということが報道されたのに隣の法務省の建物の中の刑事局および矯正局の中では粛々と久間さんの死刑執行に向けての書類に判が押されていたということです。

刑務官にはしばらく前に(刑の執行が)知らされるわけですけど本人にはその日の朝知らされるわけです。足音が近づいて自分の前で止まったというのが刑の執行です。久間さんにも足利事件についてDNA再鑑定されるだろうということは報が届いていたわけですよ。

おそらく刑務官も『よかったな』と言った人がいるかもしれない。だけどある日突然、法務省から刑の執行をするという書類が来た。刑務官たちはいっせいに凍りついたと思うけど、もうどうしようもない。そして久間さんに執行した。日本の刑の執行の仕方はおかしいと私は思う。弁護人がいたら異議の申し立てをするし、裁判官がこれを聞いたら刑の執行を止めるべきです。アメリカだったら絶対そうなります。我が国はそれができない。法務省は完全にブレーキの効かない殺人マシーンになっているんだと私は断言します。

ぜひ森英介法務大臣のもとで行われたこの執行というのどのようなプロセスで行われたかということを調べてもらいたい。これは国家による殺人だと私は思います」


菅谷さんと佐藤弁護士
posted by iwajilow | 07:26 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(2) | trackbacks(0) |
菅家さんはなぜ犯人にさせられたのか…その2
さて前々回の続きです。
この足利事件の捜査はもし菅家さんが犯人だとしたら辻褄のあわないことばかりでした。
しかし菅家さんは第1回公判で「やりました」と認めました。
「傍聴席に刑事がいるんじゃないかといつも不安に思っていた」と菅家さんはいいます。それほどの取調べであったということが容易に推測できます。裁判官の常識と一般の人の常識がかけ離れていることを端的に表していると思います。

そういった中、家族だけには無実を訴える手紙を書きます。
佐藤弁護士の話です。
「(92年)12月の(家族にあてた)手紙で『どうして俺はこんな目にあわなければならないのかわかりません。俺は本当に悪いことはしていない。警察はまったくわかってくれなかった。俺は犯人ではない。家の人はわかってくれていると思います。無実の人間が犯人にされてはたまらないです。全くとんでもないことです』。この手紙をお兄さんはおかしいと思って弁護士さんに届けました。しかしお兄さんは弁護士に面会しないで手紙だけおいていきました。

弁護士もその手紙を本人に確かめもしないで法廷でいきなり『無実と言うのはどういうことなんだ』と聞きます。『無実というのはやっていないと言うことです』『事実、やっていないのか。法律的にやっていないと言うことではないんですか』『やっていません』『今までウソを言っていたのか』『やっていません』といって泣いたらしいんですね。弁護士はびっくりしている。裁判長に対してもやっていませんと言って、この日の裁判終わってしまった。弁護士はこの日の裁判の後インタビューを受けて『信頼関係を傷つけられた気持ち。もしこのまま否認を続けるのなら辞任もありうる』と述べたんです。

その後『私が家に書いた手紙は家に心配をかけると思って無実と書きました。どうぞお許しください。本当に申し訳ありませんでした』と裁判所宛に上申書を書きました。法廷でやってないと言った時に本当のことを言っていると思った人は誰もいなかったんです」

菅家さんが否認に転じたのは12月22日でした。しかし25日には裁判所に「否認して申し訳ない」という趣旨の上申書を提出します。菅家さんによるとこうれは弁護士が『上申書を出したらどうか』ともちかけ、内容も指示したといいます。こういう状況の中で菅家さんは「弁護士が刑事と検事と違うと思っていなかった」といいます。

しかし『無期懲役』という現実を前にして菅家さんは「やってないんだから勘弁してくれ」と強く思います。そして今度は弁護士宛に手紙を書きました。再び佐藤弁護士の話です。

「結審した後、(菅家さんは)弁護士に宛てて『実は私は事件を起こしておりませんでした。本当に殺してはいません。今まではやったといいました。裁判所に上申書を出したこともありました。でも私はやっていません。今になってすいません。(中略」私はやっていないことをやったと言うのはもう我慢ができませんでした)』という手紙を出すんです」

この手紙が書かれたのは結審した後の93年5月のことでした。そしてこの手紙を受けて、公判が1回開かれるのですが、まともに取り合うことなく結審。93年7月無期懲役の判決が下ってしまいました。

「刑務所に行くのは悔しかった」と菅家さんは言います。

しかし高裁も無期懲役を維持。最高裁ではDNA鑑定が間違っていた疑いが濃くなりながらも、上告棄却。無期懲役が確定してしまいました。「DNA鑑定は間違っている」「再鑑定の必要がある」と弁護団は再審請求をしますが宇都宮地裁は却下します。これが2008年2月13日のことでした。

佐藤弁護士は無罪が明らかになった後の裁判所の動きについても批判します。

「DNA鑑定したものが菅谷さんのものかどうかわからないと。私の手紙にいれたものだからわからないじゃないかと、『そんなこというのなら刑務官立会いの下でやってくれ』と千葉刑務所長宛にお願いしたら、千葉刑務所はご丁寧に『法令上の根拠がないのでご協力いたしかねる』といった。裁判所にどうしてくれるんだといったんですけど。やっとかろうじてこういうことやったら裁判所動けばいいのに裁判所は難癖つけて、処理しちゃったというのが去年です。即時抗告してやっと再鑑定してくれたというのが去年のクリスマスプレゼント(08年12月24日)でした。

けれども裁判長が何を言ったのかというと『このDNA鑑定書の中身を公表することを禁止する』と『弁護人はノーコメントとして通せ』。『そんなことできない』と言って発表したら、何も文句言ってこなかった。

東京高検に刑の執行停止の申し立てをして裁判所にちゃんとやれということを申し立てたら6月4日に刑の執行を停止して釈放すると検事が言い出した。今までは再審開始決定の後再審公判が開かれてそこで無罪判決が出て初めて釈放される。再審開始決定が出される前に釈放されるなんてない。刑務官も言ってました。『無期懲役の人を何の準備もしないでいきなり釈放したというものない』。

問題は鈴木鑑定という検察官推薦の鑑定人。これによってDNA鑑定が違うということになった。弁護側推薦の鑑定人はいかなる偶然を配しても違う。MCT118型鑑定で犯人のものは18−24、菅家さん18−29、およそ違う型ということまで暴いた。当初18−30だといっていた。我々も想像だにしなった明らかな誤りです。真犯人のDNA型がわかっちゃったんです。18−24。ところが18−24だと科警研にとって都合が悪い。あまりにもレベルが違っているから。

今警察科警研がやろうとしていることは足利事件の敗北は足利事件どまりにして当時行われたDNA鑑定まで波及させないようにする。これ以上傷を広げたくない。群馬県警はゆかりちゃん事件の犯人を追っているのでDNA鑑定の結果教えてくれといっている。栃木県警は18−24だとまずいんで、その型は違っているんだとこれは真美ちゃんのDNAの可能性があると言っている。真犯人を擁護している。まやちゃんのご両親も調べてくれと訴えているんです」。

つまり警察は真実に蓋をしているというわけです。

さて、これって特殊な事柄ではないと僕は思います。何件もの冤罪事件や誤認逮捕を取材していますが、すべて同じ構造です。こういうことが日常的に行われているんですね。
posted by iwajilow | 00:27 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(1) | trackbacks(0) |
菅家さんはなぜ犯人にさせられたのか…その1
足利事件について「人権と報道」のシンポジウムで菅家さんと佐藤弁護士が話してくださいました。この事件、DNA鑑定のことばかり言われていますが、そのほかの部分でも今の警察や検察、裁判所の体質を表していると思います。

菅家さんは幼稚園の先生の結婚式に出席するはずだった91年12月1日日曜日の朝、突然警察に連行されます。否認をする菅家さんに対して自白を強要します。菅家さんは当時のことをこう話します。
「『お前は子供を殺したな』『いえ、やってません』と言う同じことの繰り返しでした。夜まで続き、夜10時過ぎ『証拠があるんだ』と言われ悔しくて泣きました。
『証拠があるんだ』と言われてもそれはなんだろうと。やってないと言っているといつまで経っても警察と言うのはおとなしくならないんです。苦しくてどうしようもありませんでした。体をゆすぶるんです。『自供しろ、早くしろ』と。無理やりです。体をゆすぶって何回も言うんです。『お前がやったんだ、お前だ』と」

菅家さんは「自白」することになりますが、やってない事件だからこの自白はめちゃくちゃなものだったといいます。佐藤弁護士は実況見分でもつじつまが合わないことがたくさんあったのに警察はすべて見過ごしているといいます。

「菅家さんは土曜日の2時半頃自宅を出てパチンコ店でパチンコをして6時半から7時頃景品交換をして駐車場でしゃがんでいる真実ちゃんを発見したされていました。菅谷さんは贅沢じゃない生活をしていたんですけど、1000円持ってパチンコ店に行く。3時間も4時間もパチンコ店で1000円で遊べる?」パチプロでもない菅家さんにそんなことが可能なのだろうかという疑問。
さらに菅家さんが「自白」した犯行。
「真実ちゃんを自転車の後部座席に乗せて河原に行く。手を引いて殺害現場に行ってまみちゃんに正対してしゃがみこんで首を正面から絞めて殺しす。死体を抱えて斜面を降りる途中で死体を斜面において自慰行為をする。死体を抱えて河川敷において裸にして死体をなめて自慰行為をする。その後死体を隠して衣類を置いたいたずら現場に戻って衣類を河に投げて、自転車に戻って買い物して8時頃家についたという内容です。

殺したところ、彼は裸にしたところ、死体を隠したところ、衣類を捨てたところなど、一見現場に沿うような形で書いている(警察で見取り図を描いた)んですけれども、この現場と現場の間を3メートルから4メートルと書いてあるんです。現場では30メートルから40メートルと全然距離が違うんです。パチンコ店で彼は犯行の再現をしているんです。3箇所から4箇所台を代えてパチンコしていることになっている。そして景品交換しています。真美ちゃんを見つけた駐車場。ここは大きな道に面した駐車場で、時間帯は土曜日、週末の午後です。仮に車が止まっていたら真実ちゃんは全然見えないんですけど、朝っぱらのぜんぜん車のないときに実況見分するからこういう犯行再現ができている」

実況見分のときは駐車場に車が一台も止まっていないんですね。土曜日の午後に車が一台も止まっていないパチンコ屋なんてありうるのか。もしとまっていたら景品交換所から、駐車場の端のほうにいた真実ちゃんは見えません。

「ここで声をかけて、警察の中で人形を使って犯行再現している。これが現場で坂を上っているところを指示している。ここに自転車止めました。それでこの辺で殺したと。警察の中で殺した時の様子を再現していまして正面から、首を絞めたことになっている。しかしこういうふうにして首は占められない(犯行再現ではのど仏を押すように絞めていた)。彼女の扼痕は首の両側についていてのど仏のところになんてついていないんです。よく見ればどう考えたっておかしいと思うけど、警察は見過ごしました」

さらに死体を前にしての自慰行為。
「真実ちゃんの遺体を置いて裸にした。この裸にする手順というのを見てほしいんですけど、スカートを脱がせてシャツを脱がす。このシャツをスカートの上においているんですね。それでパンツを脱がせる。キスをして自慰をしてるんですけど、こういうふうにしたら体に精液がかかりますよね。しかし本件では体から何も出ていない。

だから川の中から発見された服から出ている。これはどう考えたっておかしな犯行再現です。手にも精子は付きます。必ず体についていなければならないのだけど見過ごしている。最後に抱きしめている。接吻しているところもさせられている。

そして死体を草むらに隠します。その後、いたずらした現場に戻り川へ服を丸めて投げたんだと、投げた後服はばらばらになる。川の中から出てきたものはスカートの中にフード状に入っていたからサンダルなんかもバラバラにならなかった。まとまって出てきた。このまま投げたらばらばらになる。これも警察は見過ごしました」

こういった実況見分について菅家さんは警察に誘導されたと言います。
たとえば、真実ちゃんの遺体を隠したところではこういうやり取りがあったと言います。
「実況見分で『死体がどこにあるんだ』と聞かれてわからないから『ここです』と言うと警察は『いや違う、向こうだ』と言う。自分は全く知らないんです」

このあたりのやり取りは布川事件とまったく同じです。つまり警察のやり方は数十年前から何も変わってない。間違いがあっても何一つ反省もされないし、それが生かされることはないないわけですね。さすが世界に誇る日本の警察です。

さて佐藤弁護士は供述の不自然性はまだまだあると言います。
「彼の否認の供述内容というのは3時頃に買い物して、13日に橋でテレビカメラを見ましたとお母さんに話している。パチンコに行ったのは翌日なんだと、それで帰ってきてお母さんに『さっき橋のところにテレビ局がいたよ』って話している。これが真実です。自白は不自然なんです」

例えば菅家さんは自転車の荷台に真実ちゃんを乗せて走ったとしていますが、これも不自然なんですね。
「真実ちゃんのお母さんがテレビで言っていてハッとしました。『4歳の女の子を自転車の荷台になんか乗せて坂を上ったりすると危なくてできない』っていうんですよね。落ちないようなのがあるんですけど全くそのまま。乗せたまま急な坂も下っているこれもなかなか難しい」
そして皆無だった目撃証言。菅家さんが真実ちゃんを連れて行ったとされる河原には野球場がありました。

「野球場でまだ夕方だったので、みんな練習をしている。菅家さんのことをしている佐藤さんという方が見ていたんですけど、もし菅家さんが自転車に女の子を乗せて通っていくでしょう。自分の脇通ってボールが飛んでいくようなところに自転車おいて中に入っていったら、『おいお前何やってんだって声かけるのに決まっている。そんな人いませんでしたよ』って。

マラソンやっている人は夜ずっと練習のコースに使っていた。あるときに自分のコース上に自転車が現れて約30分かそこら自転車が止まっていて消えることになりますから、『コースの練習している時にそういう不自然なことはありませんでした』って言っている。うっそうと葦が茂っているところを、真実ちゃんの手を引いて入っていけるか、野球をやっていた人がボールが飛んでいくんだけどまっすぐ大人でも入りこむことはできなくて回り込んで取りに行っていたと言っている。真実ちゃんの手を引いていくこともできないといわれている」

「さらに懐中電灯なしに河川敷の散歩は可能かどうかという問題。懐中電灯なしでに中に入っていくことはできません。ノバラとかあったり、怪我するし。懐中電灯もなくて死体を遺棄した場所から衣類を置いた場所に戻れるか。裸にした場所から運んで遺体を置いている底から20メートルから25メートル戻って衣類を取って河に投げている。ところが真っ暗の中でそこへ戻って探すなんて不可能ですよ。葦がうっそうと茂っているところ、不可能です」

殺した後に手も洗わず買い物する不思議もあります。
「フードセンターの閉店時間までに犯行は可能か。フードセンターは日曜日が休みで土曜日が8時までしかやっていない。犯行が7時。フードセンターで彼は約15分間買い物したことになっている。7時45分までに彼は入らないといけない。車で約10分かかるので、ちょっと時間的に足りない。犯行を終えて手を洗うなど一切やらない。コウコウと明かりがついているところに顔をさらすのか。彼の借家にはお風呂も何もない。汚れた手を何とかしたとか、犯行の証拠隠滅みたいなこと何もやらない。つまり犯行がぽこっと日常生活の中にはまり込んだ様な自白なんです」

そして遺体の不思議。
「まみちゃんの遺体の顔には青っぽい砂がついていた。死体に白色の泡沫液。鼻と口から泡が出始めた。泡というのは溺死体なんです。死後腐敗ガスが出ることによって鼻や口からきのこが出るように見える。これ泡沫キノコというんですが、それに似た現象がまみちゃんにも見られた。法医学鑑定で死ぬ前に水を吸った可能性があることがわかりました」

当初から犯人は別という証拠はいくつもありました。
「否認供述に符合する証拠として小さな女の子の手を引いて渡良瀬川に下る不審な男性を見たという目撃者が男性二人、女性一人いました。そしてフードセンターのレシート。3時2分に買い物している。菅谷さんは缶コーヒーが好きで95円というのが1本の値段。95×2という、こんなささやかな買い物するのは彼の買い物であるというのは一目瞭然であると思います。

さらに当初、これも菅家さんの犯行とされたマヤちゃん事件。
「まやちゃんの事件も自白した。この事件は平日に犯行が行われたとされています。菅谷さんは幼稚園に勤めていたから12時から1時までしか犯行ができない。神社で殺されて遺体は対岸から発見されました。菅家さんは勤務が終わって遺体を隠していたそばのゴミ箱をあさったらリュックが見つかった。
それで死体をリュックにつめてものすごい遠いところにとめて遺体を置きましたと。

しかしまやちゃんの最後の目撃者は中華料理屋さんで働いていて、昼間の忙しい時を過ごして注文をとってそれを配達して戻ってきたときに麻耶ちゃんが男の子とずっと向こうに走っていった、と証言していました。午後2時頃に見ました、と。つまり菅家さんが殺した後にまだ生きていたことになるんです。菅家さんが自白した後、あなたの供述はちょっと違うから変えてくれといって供述を変えちゃった。だけど後になって自分が警察に協力したことはおかしかったんじゃないかと思って私たちに話してくれた。そういうのがマヤちゃんの事件です」

「ゆかりちゃん事件もパチンコ店の防犯カメラに犯人らしい男が写っていた。土手から手を引いた男を見たという奥さんが自分が見た真実ちゃんの手を引いた男に良く似ていると。ゆかりちゃん事件の犯人は実はゆかりちゃん事件の犯人じゃないかと言われています」

素敵な警察の捜査の実態の一端がよくわかると思います。
このあと、佐藤弁護士は裁判で菅家さんはどういう状態だったのか、また今回の失敗を受けて警察や裁判所がどのような行動をとったのかを話してくれました。そのあたりについてはまた、まとまり次第ご報告いたします。

とりあえず、今回は前編ということで…。


事件を解説する佐藤弁護士


菅家さん
posted by iwajilow | 20:36 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(0) | trackbacks(0) |
なぜ無実の人が自白をするのか◆舛気蕕覆誄雄畛件の疑い
さらに無実の罪で死刑囚になりながら奇跡の生還をはたした免田栄さんもいらっしゃいました。

免田事件…
1948年12月30日午前3時ころ、熊本県人吉市で夫婦が殺され、その娘二人が重傷を負わされたうえ現金が盗まれた事件。翌年1月13日、警察は免田栄氏(当時23歳)を、窃盗で別件逮捕し、同月16日に殺人容疑で再逮捕。免田氏には事件当夜のアリバイがあったが、警察は承認に虚偽の証言をさせ、さらにこの自白も警察による拷問と脅迫から得たものだった。しかし地裁で死刑判決、最高裁で上告が棄却され死刑が確定する。6次にわたる再審請求の結果、1983年7月、34年ぶりに無罪判決が言い渡された。



「アメリカのいい面よりもアメリカの悪い面がこの国では行われているように感じます。今でも多くの冤罪者が確定囚の立場で再審を勝ち取ろうと闘っています。日本人として大変残念ですが、民主主義の歴史にヨーロッパと比べて日本は500年の遅れがあるとい言われます。

私は昭和24年1月13日に殺人事件で逮捕されました。取り調べの中でものすごい暴力を受けました。刑事たちがその当時売春制度の闇を巧みに使って金儲けをしていました。私はそれを知っていたのです。

12月29日に泊まったところが警察のたまり場になっていて、警察官が15、16才の娘の保証人をしていました。

その娘のお母さんがブローカーでした。私がそのことを知ったので刑事たちが『免田をつぶせ』ということになりました。そしてたまたま運が悪いことに私が泊まった時に殺人事件が起こったのです。

逮捕された13日から19日まで6日間の取り調べでは寝ることも食事も与えられることもありませんでした。その中で調書を作成されたのです。

死刑が確定した時、裁判官に自分の心証を訴えて泣きすがりました。そして再審が決定したのです。しかし、警察はそれを消すために証拠証人を偽造し再審を取り消しました。

大変難関な道がありましたが正義は必ず勝つと信じて死刑囚で始めた再審の道を開きました。

今83歳です、少しでも役に立ちたいと法と人権の運動をしています。人が人を裁くということはどんなに力があってもどんなにお金があっても正しくできません。

お互いに考えてください、考えましょう。そして少しでも犯罪の起こらない社会を構築したいものです。

がんばりましょう」


免田栄さん


また足利事件で戦っている佐藤博史弁護士も壇上にあがりました。

足利事件
1990年5月栃木県足利市で幼女(4歳)の遺体が発見され、91年12月に保育園のバスの運転手が容疑者として逮捕された事件。現在無期懲役が確定し服役中だが無罪を主張し再審請求が行われている。


この事件ではDNA鑑定を信頼しすぎたために冤罪が起こったのではないかという問題提起が行われました。

足利事件では「幼女の半そで下着発見され、そこに精液が付いていた」ものが有力な証拠となりました。当時はDNA鑑定はなく、血液型がB型。

以下、佐藤弁護士の話を要約しました。

保育園バスの運転手が疑われ彼は警察に1年間尾行を続けられました。その間、幼児との接触はありませんでした。しかし、あるとき彼がゴミとして捨てたティッシュペーパーを警察が採取、そのティッシュに精液が付いていました。警察はこれを分析、任意同行で取り調べを始めました。
すると、次の日の新聞報道で「DNA鑑定が一致」と出ます。

彼はその日の夜に自白を始めました。未明に逮捕し翌日にはこの事件が「解決」したと報道されます。

起訴されたあと、彼は公判で自白を維持しますが第6回公判で突如否認に転じます。しかしその後再び自白をします。そのあとは自白を維持するのですが、あとは判決を待つだけという中で、弁護士に無罪を主張する手紙を出します。

そして第10回公判で無罪の主張をしますが、そのまま結審、次の11回公判で無期懲役が言い渡されます。

そして2000年、最高裁で上告棄却。無期懲役確定しました。

この際に有力な決めてとなったのはDNA鑑定でした。この鑑定は血液型鑑定とDNA鑑定の組み合わせで行われました。

真犯人および、容疑者とされた元運転手の血液型はB型でLe分泌型で一致しています。さらにDNA型としてMCT118型の16−26型で一致します。当時この一致する確率は0.83%と言われていました。血液型とこのDNAが一致する確率は0.1224%でした。1000人に約1.2人ということです。

しかしその後研究が進み、MCT118型の16−26型という型は日本人に非常に多いことがわかりました。
同じ血液型、DNAをもつものは当時1000人に1.2人だったのが1000人に6.23人になりました。

1990年当時の足利市の男性は8万2788人、性犯罪可能な年齢の男性をその半数の4万1394人として換算しても該当する男性は257人になります。
これに周辺市を入れると700人以上いることになります。

この結果からこのDNA鑑定だけで有罪の決め手とするのは不可能なのではないか。
さらに逮捕された元運転手ははIQが77です。
これは知的障害者とは言わないまでも、非常にギリギリの線。つまり彼は教授の話にもあったように、迎合しやすい、脆弱である、強い調子で言われると否定できないという面があるのです。

またこのDNAの型自体が違っている可能性もあります。

彼から髪の毛を手紙の中に入れてもらい送ってもらいました。その髪の毛を日本大学医学部の押田教授に鑑定してもらいました。精度が高いと言われるアレリックマーカーでの再鑑定の結果18−29型であることがわかりました。
(当時の鑑定は123マーカー)

科捜研は123マーカーの不正確さを認めつつ、一定の規則的な読み換えによって123マーカーで判定した数値をアレリックマーカーで判定した数値に置き換えられると主張しています。その場合123マーカーの16−26型はアレリックマーカーの 18−30型に対応するとされました。

すると…
元運転手のDNA鑑定結果は18−29型、犯人のものとされるDNAは18−30型と食い違うんですね。これだけで判決には合理的な疑いが生じていると言えます。

最高裁の決定でも「(本件DNA)鑑定の証拠価値については、その後の科学技術により新たに解明された事項なども加味して慎重に検討されるべきである」としています。



という内容でした。12月19日に再鑑定に向けての裁判所、警察、弁護士の話し合いが行われるそうです。

疑わしきは被告人の利益へ…、と思います。


パネルディスカッションではスティーブン・ドリズィン教授や現在最高裁で再審が検討されている布川事件の桜井昌司さんが出席されました。


パネルディスカッション

(布川事件はこちらへ)

 布川事件というのは今から41年前に起きた強盗殺人事件です。私と杉山孝雄という当時20歳くらいの、チンピラですね、が捕まって虚偽の自白をさせられて無期懲役。今から19年前に仮釈放されて今年の4月高裁で再審決定、今も維持されています。

―なぜ自白したのですか?

桜井さん― 
不思議ですね。
自分もまさかウソの自白なんてするとは思っていませんでした。それがたった5日で自白です。まず警察が嘘をいうんです。おまえのアリバイは違っているよ、裏付けがないよ、お前と杉山が一緒にいたところを見た人がいるよ、と言われると、そうだったのかなぁ、と。

杉山とは仲悪かったから、あいつは人のものかっぱらったりしてたから、ああついにやったやっちゃったか、それで殺しちゃったか、なんて思ったりね。

朝から晩まで取り調べられて、嘘発見器にかけられてお前が言っていることは嘘だと言っているぞ、と。当時は警察が嘘をつくなんて思ってもいませんでしたからね。今は「ウソつきは警察の始まり」と思っていますけどね。

苦しさから逃れたいと思っていしまうんですね、疑われること自体が苦しさ。
毎日10時間くらい取り調べられました。そこでやったという証拠が出たと言われて、もうどうでもいいやと思ってしまったんですね。警察はどんなことをしてもやったと言わせたいんだろうと、やったと言うまではどんな手段でも使うなと。でも甘いんですけど、いずれ真相はわかるに違いないと思っていました。

やってないことをしゃべるわけですから記憶がないんですよ。取り調べの中で記憶のなくなった後からの話をしろ、と言われてうろたえました。
「やった」と言えばもうNOとは言えないんですね。

もう止むをえませんよ。記憶をなくした時点からいろいろな出来事をつなぎ合わせていきます。自分の知っていることは自分で作っています。駅がどうなっているとか、道がどうだとかは。

知らないことについては、どういう答えを求めているんだろうと予想するんですね。
「どんな服着てたの?長そで?半そで?」と聞かれれば、わかりますよね、8月29日、半そでだろうと。

「色は?」「うーん白かな」
「襟はついていたの?」 付いていたのかって聞くことは付いていないんだろうと。

共犯にされていますから、食い違いが出ますよね、「どっちでもいいから」「向こうの言っている通りでいいから」そういうと「むこうの警察官の方が若いんだよ、俺のメンツがないんだよ」と言われて「じゃあ、いいですよ」って。だから僕らの供述には食い違いが多いんだと思いますよ。

―何時間なら取り調べに耐えられますか?

桜井さん―
今なら1か月くらいなら耐えらるかな。でもせいぜい2日くらいです。3日はきついですね。

―桜井さんの話にも出ましたがポリグラフ(嘘発見器)はそんなに正確なんですか?

スティーブン・ドリズィン教授―
ポリグラフはあまり正確なものではないがよく使われています。しかし被疑者はそういう情報は知らされていません。どういうことが起こるのかというと「ポリグラフの結果お前がクロと出た」と言われると非常に心理的にプレッシャーになって虚偽自白に追い込まれていくというケースがたくさんあるのです。

取調官にポリグラフは中立的客観的なものと言われると、無実の被疑者は非常に動揺するんですね。そしてこれは裁判所に行って証拠になると言われると絶望してしまいます。被疑者は警察官が嘘をつくとはあまり思っていません。警察官は「私のことは信じられないかもしれないが、機械は信じられるだろう」と言います。そして「ポリグラフがお前をクロと言っている」ということですら嘘であるということには想像が及ばないんです。

―桜井さんはどうだったんですか

桜井さん―
(ポリグラフかけられた後に)俺じゃないということがわかったでしょう、って言ったんですよ。そしたら取調官は下向いて両手組んで「残念だ」っていうんですよ。

「俺にはお前と同い年の息子がいるんだ。ずっとお前が犯人じゃないと思っていたけど、犯人と出てしまった。もう駄目だ…」
と言われて、どうしても俺を犯人にしたいんだという絶望的な気持ちになりました。

スティーブン・ドリズィン教授―
DNA鑑定、髪の毛、指紋が出た。取調官からそういうことが告げられると、それが虚偽自白を生む傾向にあります。

他にも誰かいただろう、言います。例えば「あなたは犯罪の場所にいただけですよね。目撃者じゃないですか」とかね。こういうことをいう目的は被疑者が犯罪現場にいたことを認めさせることが重要なのです。

それを認めて目撃者だと言っても、共犯だと切り出されることを被疑者は知りません。

一つの虚偽自白を得るとそれに連なって虚偽自白を得るのはすごく簡単なんです。


人のやることには必ず間違いがあるので、それをどう防ぐか、ということはメンツよりも大事なことだと思います。警察、検察、裁判官はどう考えているのでしょう。。。


posted by iwajilow | 22:44 | 真実を明らかにせよ…足利事件 | comments(1) | trackbacks(0) |